デジタル調達とは?購買調達DXでビジネスを効率化する方法

最終更新日

アイキャッチ画像

製造業では、DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れが加速しており、調達業務もその影響を大きく受けています。デジタル調達は、これまでの調達プロセスを抜本的に見直し、業務の効率化と競争力強化を実現する手法として注目されています。

しかし、「デジタル調達とは具体的に何なのか」「どのようなメリットがあるのか」「導入を始めるにはどうすればいいのか」といった疑問の声が多いのも事実です。そこで本記事では、ふっ素樹脂の老舗メーカーであり、デジタル調達システムを展開するバルカーの専門社員が、デジタル調達の基本から導入のポイントまでをわかりやすく解説します。

調達業務の基本

調達業務は、企業が事業を行う上で不可欠な資材やサービスを確保するプロセスです。この記事では、調達業務の役割、重要性、そして伝統的なプロセスが抱える課題について見ていきます。

調達業務の役割と重要性

調達とは、企業が必要とする資材やサービスを適切に入手することを指しますが、単に物を手に入れるだけではありません。製造業における調達業務では、経営戦略や商品企画に基づき、適切な原材料を選定し、どのように仕入れるかを検討することが重要です。

大半のメーカーは「よい製品を、より安く、より確実に」提供することを目標にしているため、品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)の観点、いわゆるQCDが不可欠となります。また、自然災害や政情不安による供給リスクにも備える必要があります。

さらに、発注後には納品された原材料が仕様通りかどうかを確認し、最終的には支払いまで完了させることも調達業務に含まれます。

調達と購買の違い

調達と購買は混同されがちですが、これらは異なるプロセスです。購買は、調達の一部であり、「実際に購入する行為」を指します。

例えば、私たちバルカーが製造する高機能樹脂製品は、設計図に基づいて発注されるため、お客様にとっての「調達」となります。一方で、規格化された(型番の決まった)ネジを購入する場合は「購買」に該当します。

伝統的な調達プロセスの課題

従来の調達プロセスは、時代や環境の変化により多くの課題を抱えています。

上流のS2C(Source-to-Contract:ソーシングから契約まで)の段階では、古くからのサプライヤーとの関係が、柔軟な対応を難しくする場合があります。自然災害や政情不安のリスクが高まる一方で、事業スピードの向上やコスト削減が求められる現在、従来のサプライヤー網だけでは立ちいかなくなる可能性があります。しかし、短期間で新たなサプライヤーを探すのは困難です。

また下流のP2P(Purchase-to-Pay:購買から支払いまで)の段階でも、取引網が狭い場合や、一部のベテラン従業員に業務が集中している場合、コストが適正かどうかが把握できないことがあります。事業を持続・発展させるためには、取引網の拡大としてこのような閉鎖的な状況を打破し、調達業務の改善を図るためにデジタル調達の導入が求められています。

デジタル調達の概要と業務効率化を実現する役割

デジタル調達とは、デジタル技術を活用して調達業務を行うことです。これまで自社の限られたネットワークからサプライヤーを選び、電話やメールで個々に交渉・注文していた従来の手法に比べ、デジタル調達では情報の網が格段に広がり、業務の効率化や正確性、迅速性、透明性が飛躍的に向上します。

特に、図面をもとにしたオーダー部品の調達では、ベテラン従業員の方に依存するケースが多くあるのではないかと思います。図面に対応できるサプライヤーの選定から見積りの依頼と問合せへの対応、価格の妥当性検証やQCD含めた選定に至るまでのプロセスは、ベテラン社員の知識やノウハウに頼る部分が多く、「属人化」が進んでいました。

ベテラン社員が引退し、また人手不足という課題に直面している現代の企業では、こうした属人化された知識や経験を「ナレッジ」として共有し、組織全体で活用することが求められています。デジタル調達は、このナレッジ共有を進め、効率的な調達業務を実現する有効な手段とされています。

デジタル調達導入によって得られるメリット

デジタル調達の導入により、ビジネスのさまざまな局面でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進化しています。調達業務においても、以下のようなメリットが期待されます。

コスト削減と効率化

これまで手作業で行われていた多くのタスクが自動化されることで、業務のスピードアップや人件費や通信費、ミスのカバーリングによるコストの削減を実現できます。そのぶん利益率も上がるため、新製品の開発や既製品の付加価値向上、ブランド力のアップといった企業活動に力を入れることもできます。

従来は手作業で行われていた多くの業務が、デジタル技術により自動化されます。これにより、業務のスピードが向上し、人件費や通信費の削減、さらにはヒューマンエラーの防止によるコスト削減が可能になります。

コスト削減によって利益率が向上するため、企業は新製品の開発や既存製品の付加価値向上、ブランド強化などにリソースを充てることができ、競争力を高めることが期待されます。

的確なサプライヤーの選定とリスク管理

各サプライヤーの対応できる加工範囲や得手不得手を定量データとすることで、ベテラン社員が頭の中で行っていたサプライヤー選定を代替して行えるようになります。

さらに、リアルタイムでのデータ収集や分析により、地政学的リスクやサプライヤーの供給状況を迅速に把握し、リスク管理を強化することが可能です。これにより、早期にリスクに対応し、効果的な対策を講じた上で意思決定ができるようになります。

環境対応やCSR調達

デジタル調達により、調達プロセスの透明性が大幅に向上します。この透明性の向上は、環境保護やCSR(企業の社会的責任)を重視した調達活動においても重要です。サプライチェーン全体を可視化することで、環境への負荷が高い取引や、CSR違反に繋がる取引を早期に発見し、是正することが可能になります。

さらに、企業は調達におけるエコロジカルな取り組みを明確にすることで、社会的責任を果たす姿勢をアピールでき、ブランド価値や顧客信頼を高めることが期待されます。

購買調達DXの進め方と留意点

購買調達DXを成功させるためには、リーダーの育成からシステムの導入、実施計画の策定まで、段階的に進めることが重要です。以下にその具体的な進め方と注意点を解説します。

1. DX推進リーダーの起用と人材育成

デジタル調達は、業務の「属人化」を解消し、より効率的なプロセスを実現しますが、これを成功させるには、デジタル技術に精通し、DXをリードするスタッフの存在が不可欠です。必ずしもスペシャリストである必要はありませんが、外部人材の確保や社内でのリーダーシップ育成を進め、必要に応じてコア業務以外はアウトソーシングを活用することも検討しましょう。

2. 購買業務の課題を洗い出す

まず、自社の購買業務の現状を把握し、抱えている課題を具体的にリストアップします。以下のような問題を例に挙げることができます。

  • 誤発注の多発
  • 過剰な在庫の抱え込み
  • 納期遅延の発生
  • サプライヤーの数が限られている
  • コスト削減が進まない

このように、潜在的な問題を可視化することで、改善のための具体的なアクションを検討しやすくなります。

3. 改善目標とKPIの設定

課題が明らかになったら、それに対する具体的な改善目標を設定します。目標設定に際しては、数値目標やKPI(重要業績評価指標)を盛り込むことで、進捗状況を管理しやすくなります。例えば次のような目標が考えられます。

  • メールによる発注管理を徹底し、ログを残す
  • 適正在庫を維持し、±5%以内に収める
  • 不可抗力の事故やアクシデントを除き、納期遅延をゼロにする
  • サプライヤーを20%増やす
  • 購買コストを前年比10%削減する

これらの目標は、具体的な数値を伴うことで実現可能性が高まり、進捗の確認もしやすくなります。

4. システムの導入と選定ポイント

次に、設定した目標やKPIに基づき、適切な調達システムを導入します。システム選定時には以下のポイントに注意しましょう。

  • 自社の調達業務プロセスに適合しているか
  • 必要な資材やサプライヤーがシステム内で網羅できるか
  • トラブル時の迅速な対応が可能か(サポート体制の確認)
  • ベンダーのサポートが充実しているか

これらの要素を考慮し、最適なシステムを選択することが成功の鍵となります。

5. 実施計画とスモールスタート

システム導入後は、予算やスケジュール、担当者の選定を含めた実施計画を立案します。特に、初期段階ではリーダーや担当者を中心にスモールスタートで進め、段階的に規模を拡大することが推奨されます。

6. 定期的な評価と継続的な改善

DXは一度導入して終わりではなく、継続的に改善が必要です。導入後も定期的に評価を行い、システムの運用状況やKPIの達成度合いを確認し、必要な修正を加えながら最適化を図りましょう。

デジタル調達の成功事例:3社の導入事例から学ぶ

多くの企業がデジタル調達の導入を進めており、その結果、業務効率やコスト削減、リスク管理の向上に成功しています。ここでは、代表的な3社の導入事例を紹介し、それぞれの成功ポイントを見ていきましょう。

1. 機械製造業A社:サプライヤーとの連携強化による業務効率化

A社では、従来専用回線を用いた注文書データの送付のみを行っていましたが、これではサプライヤーとのコミュニケーションが一方通行となり、問い合わせや確認の対応に多大な手間と時間がかかっていました。

デジタル調達システムの導入により、サプライヤーとの双方向の業務データの共有が可能となり、納期確認や発注内容の変更が画面上で迅速に行えるようになりました。その結果、発注ミスの削減とともに、業務効率が大幅に向上し、サプライヤーとの連携も強化されました。

2. 運輸・物流業B社:書類作成の自動化で業務処理速度が飛躍的に向上

B社は、契約書や見積書の作成、サプライヤーとのやりとりを紙やファクシミリで行っていましたが、業務拡大に伴い、処理速度の遅さが大きな課題となっていました。

販売管理システムを導入したことで、書類の作成や送付が自動化され、これまでかかっていた手間や時間が大幅に削減されました。さらに、入力チェック機能やアラート機能の活用により、発注ミスもほぼゼロとなり、業務の精度とスピードが飛躍的に向上しました。

3. 医療業C社:購買業務の統一化と自動化で工数削減と内部統制を強化

C社はグループ内に複数の工場を抱えていましたが、各工場の購買方法やシステムがバラバラで、購買基準や価格が統一されていませんでした。

3工場をカバーする共通の購買管理システムを導入したことで、購買プロセスの統一が実現し、すべてのプロセスが可視化されました。これにより、内部統制が強化され、購買実績の一元管理と分析も可能になりました。また、作業の自動化により大幅な工数削減と効率化を達成し、業務全体の生産性が向上しました。

今後のデジタル調達の展望と企業への影響

デジタル調達は、デジタル技術の進化に伴い、今後も急速に発展していくと予想されます。特に、AIやIoTなどの先進技術が調達業務を劇的に変革する可能性が高いです。ここでは、技術進化がもたらす影響と、企業が取り組むべきポイントを解説します。

AI技術による予測分析と自動化の進展

AIは、過去のデータを基に高度な予測分析を行い、サプライチェーンにおけるリスクを事前に察知して対応することが可能です。地政学的リスクや市場の変動など、予測が難しい要因にも迅速に対応できるようになり、調達業務の自動化がさらに進むでしょう。

これにより、企業は人的リソースの削減や意思決定のスピードアップを図ることができるようになります。

IoT技術によるリアルタイムなデータ管理と最適化

IoT技術の発展により、調達業務のデータをリアルタイムで収集し、在庫管理やサプライチェーン全体の監視を一層強化することが可能になります。IoTを活用することで、在庫状況を自動的に最適化し、必要なアイテムを自動的に発注する仕組みを整えることも夢ではありません。

たとえば、リアルタイムでサプライチェーンのボトルネックを特定し、迅速な対応を取ることで、無駄な在庫の削減や納期遅延を防ぐことが期待されます。

技術進化に対応するための企業戦略

デジタル調達の導入は、もはや選択肢ではなく競争力を維持するための必須条件です。新技術を取り入れないままであっても、一定の技術力があれば当面は生き残れるかもしれません。

しかし、将来的には市場競争において劣勢に立たされることは避けられません。AIやIoTを活用した調達の自動化やリスク管理が進む中、導入の遅れが競争力低下に直結するリスクを企業は理解すべきです。

まずは小さなステップからでも、デジタル調達の導入を進めることが重要です。新技術の進展に振り落とされないよう、企業は自らの調達業務のデジタル化を早期に進め、市場での競争力を維持していくことが求められています。

Quick Value™で始めるデジタル調達の第一歩

Quick Value™は、WEBベースの高機能樹脂加工部品の見積り・発注・調達を簡便化するサービスです。時間や手間のかかるプロセスを効率化し、ものづくりの現場で大幅な生産性向上が可能です。

老舗の品質と信頼性

バルカーは70年の実績を持ち、Quick Value™でその品質基準と効率的なサプライチェーン管理を提供。業務効率と正確性を両立する画期的なシステムを多くの企業に活用いただいています。

編集者

バルカー編集部

カテゴリー

タグ

X
facebook

高精度なPTFE(テフロン)切削加工のポイントと加工事例|Quick Value™

最終更新日

アイキャッチ画像

優れた耐熱性・耐薬品性・非粘着性など、さまざまな性質によってますます評価が高まっているPTFE。しかし、「どのような素材か?」「どのような加工方法で作られるか?」「調達するうえで注意すべきことは?」といった疑問を持たれている方が少なくありません。

そこで今回は、PTFEを知るファーストステップとして、バルカーの高機能樹脂担当スタッフが特性や活用方法をわかりやすく解説します。

ふっ素樹脂とは?PTFEとは?

ふっ素樹脂はアメリカの総合化学会社、デュポン社のプランケット博士が1938年に発見した素材です。多くの樹脂が石油から作られていますが、ふっ素樹脂は主に中国やロシア、インドなどで採られる蛍石(ほたるいし)を原料としています。この鉱石を硫酸で精製してふっ素ガスを取り出し、パウダーにすることで、さまざまな製品に加工することができます。

しかし、質の高い蛍石が容易に入手できないことや精製できるプラントが限られているため、日本国内の流通量は樹脂全体の3%と低く、価格も他の樹脂に比べてやや高めです。

樹脂は通常、アルコールや酸に弱く、溶解してしまう可能性がありますが、ふっ素樹脂はほとんどの薬液にふれても変化しません。また、耐熱性、絶縁性、非粘着性、低摩擦性、耐候性にも優れています。そのため、薬品を扱っていたり、高温であったり、滑り性を求められるような製造環境や製品によく使用されています。

PTFEならではの特性と用途例

ふっ素樹脂とはふっ素原子を含む合成樹脂の総称です。PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)は、そのひとつ。ふっ素樹脂の代表的な素材で全需要の約60%を占めていて、切削加工品の最もポピュラーな材料です。

PTFEは「テフロン」とも呼ばれていますが、これはデュポン社の商標(現在、この商標はケマーズ社に移管)。バルカーでは「バルフロン®」という名称でPTFE を製造・販売しています。PTFEは以下のような特性を備え、その特性ゆえに他の素材では困難な状況でも活用されています。

耐薬品性(用途例:半導体製造工場)

どのような薬品にも反応しない化学的特性を備えているため、近年、特に半導体製造現場の需要が飛躍的に伸びています。半導体の製造において、ウェハ上にパターン回路をつくる工程は化学処理(洗浄処理など)で行われ、目的に応じて強酸や強アルカリ、溶剤といった多数の薬液を使用します。薬液に微量でも不純物が混入するとウェハ上の微細な回路パターン形成の障害となり、不良品が発生します。

このようなトラブルを避けるために、薬液を貯蔵するタンクや配管、ポンプやバルブの内側や薬液が接触する部分などにPTFEが内張りライニングされています。

耐熱性(用途例:食品工場)

連続使用で260度、一時的であれば300度の熱にふれても分解しません。これほどの耐熱性がある樹脂はPTFEだけです。そのため、パンを焼く工程のベルトコンベアーなどの高温の環境で活用されています。

非粘着性(用途例:フライパン、炊飯器の釜のコーティング)

粘着物がつきにくい性質があります。この特性と耐熱性から、フライパンや炊飯器の釜のコーティングなどに活用されています。高温で調理しても破損せず、お米や具材がこびりつくこともありません。

低摩擦性(用途例:機械の回転軸部分)

PTFEは樹脂の中で最も摩擦係数が低く、潤滑性が高い素材です。その特性を利用してモーターなどで回転する軸部分に使われています。一般的に、このような機能はベアリングが担いますが、「複雑な構造にしたくない」「潤滑のためのオイルを使用したくない」といったニーズにPTFEは応えます。

電気的特性(用途例:レーダーの基盤材料、絶縁材料)

誘電率が高く、送電ロスがほとんどないため、ミリ波レーダーの基盤材料などに使われています。一方で絶縁材料としても優れ、高電圧の電気を遮断することができるので、充電設備や発電所でも活用されています。

耐光性(用途例:屋外のプラントのシール材)

紫外線の影響をほとんど受けないため、何十年太陽光を浴び続けても劣化しません。そのため、屋外の貯蔵タンクの液漏れ防止用のシール材などに活用されています。

PTFEの主な加工方法

一般的に、樹脂を同じ形状に大量に加工する際は、金型を作り、樹脂を溶かして流し込み、冷却して固めて取り出すという射出成形(インジェクション成形)という方法が採用されます。

しかし、PTFEは溶融粘度が高く、他の樹脂のように加熱しても液体化しないため、この方法は適していません。原料のパウダーをブロックや丸棒形状に圧縮成形して焼き固め、これらを機械で削り出す切削加工という方法で目的の形状にしていきます。この切削加工には、大きくわけて2種類の方法があります。

マシニング加工

素材が固定され、工具(刃物)が回転して素材を削っていく方法で、主にブロックや板物形状に適しています。縦に動くZ方向、横に動くX方向、奥行きに動くY方向の3軸に動かすことができ、必要な工具が自動で交換されます。

フライスや中ぐり、穴あけといった切削を事前にプログラムで設定し、図面どおりの形状にしていきます。3軸にテーブルの回転の2軸を加えた5軸加工機もあります。3軸では難しい湾曲を描くような複雑な形状を切削でき、人手で位置を変える必要がないので生産効率も上がるという点で注目されています。

旋盤加工

陶芸のろくろのように、素材が回転して工具(刃物)を当てることで削っていく方法で、主に円や筒形状の加工に適しています。通常、コンピュータで数字を制御できる装置を備えているNumerical Control(数値制御)旋盤という機械を使用します。

このNC旋盤にマシニング加工のような回転工具を備えつけ、フライスや穴あけができるようにしたものを複合旋盤といいます。複合旋盤であれば、5軸加工機のような作業効率と品質の向上が図れます。

お客様の課題やお悩み

バルカーはPTFEを中心に、約70年間ふっ素樹脂加工品を供給してきました。その間、お客様のさまざまな課題やお悩み、ニーズと向き合ってきました。現在は以下のような声を聞くことが多くなっています。

依頼先を決めるまでの負担が大きい

新しくPTFEの加工を依頼する、あるいは現在の調達状況に難があるために新しいサプライヤーを探さなくてはならなくなったとき、品質の監査のために工場の加工現場を視察したり、サンプルを作って出来栄えを見る、といったプロセスが必要な場合がある。そのための時間や労力の負担が大きい。

見積りを取るまでの負担が大きい

サプライヤーを選定した後、見積りを取るために図面を送ったり、工場や担当者と連絡を取る必要がある。そのための時間や労力の負担が大きい。さらに相見積りを取る場合、その負担はサプライヤーの数に比例して増える。

半導体市場に占有されて調達が難しい

現在、半導体市場が活況を呈していて、自然と調達量の多いメーカーに、より多くのPTFEを占有される場合がある。そうなると必要な量や使用頻度がそれほど高くないユーザーが容易に入手できなくなる状況になりやすい。

このような課題やお悩み、ニーズを解決するためにQuick Value™があります!

調達・注文・使用の際の注意点

高性能で用途も広いPTFEですが、扱うにあたっていくつかの注意点もあります。ここではそのなかで特に注目していただきたいポイントを挙げます。

線膨張〜使用時の温度にあわせた設計

PTFEは線膨張(温度が変化することによって物質の大きさが変化すること)が大きい樹脂です。低温時に収縮し、高温時に膨張します。23℃あたりに体積が変わる転移点があり、ここを上下することで1〜2%増減します。そのため、お客様が使用される環境温度が低いと加工品が「装置に合わない」、高いと「装置に入らない」といった不具合が生じる可能性があります。

バルカーは検査時の温度を25℃±2℃で規定しています。PTFEを使用される環境は同様の温度に設定いただくことをお願いしています。「どのくらいの温度で、どれほど変化するか」は、線膨張係数というデータをQuick Value™のホームページに掲載しておりますので、設計の際はぜひ参考にしてください。

摺動状態の摩耗に注意

PTFEは摩耗しやすい材料で他のパーツとのこすれが生じたり、常に摺動している環境で使用しているとPTFEは摩耗やクリープ(変形)が生じやすくなります。不具合が発生する前にチェックして交換する必要があります。また、このような環境下で使用する際は、グラスファイバーやカーボンなどをPTFEに混ぜて摩耗強度を高めることもできます。これを「充填材入りPTFE」といいます。

バルカーは「充填材入りPTFE」のご注文に対応しています。工程としては、お客様から充填材とその混合量を指定いただくパターンと「こういう用途で使いたい」というご相談から、バルカーが設計内容を提案。試作品をお客様の実機で確認いただいた上で生産するというパターンがあります。

PTFEの切削加工を依頼するならQuick Value™

Quick Value™は、バルカーが運営する、WEB上でPTFEの切削加工品の見積りの取得から、発注・調達までできるサービスです。これまで人を介して行われてきた作業をDXで実現。圧倒的なスピードと利便性でものづくりの現場に貢献します。

老舗メーカーならではの確かな品質と対応力

バルカーはPTFEを中心に、約70年間ふっ素樹脂加工品を供給してきました。その実績に裏打ちされた基準をQuick Value™に参画しているサプライヤーにも求め、徹底した品質管理を行なっています。
さらに、さまざまな強みを持つサプライヤーがいることで多様な技術力を発揮。メーターサイズの加工品や溶接を含む複雑な形状のオーダーにも幅広く対応します。

編集者

バルカー編集部

カテゴリー

タグ

X
facebook